弁護士の先生をお招きして人権特別授業を行いました。
毎年多くの中学校で人権作文が夏休みの宿題として出されます。
今年も頭を抱えている子が多かったので、弁護士の先生をお招きして特別授業を開催することにしました。
講師は横浜サルビア法律事務所の熊澤美香先生。
全然エラそうじゃなくて笑、とても柔和で優しい先生です。
「弁護士の仕事とは?」
「司法試験ってどれくらい難しい?」
「人権とは?」
「弁護士は悪人の味方?」
「逮捕されたら犯罪者?」
などのテーマについて、進行を「考えよう」と「聞いてみよう」にわけて、グループで考えたり発表したり、その上で熊澤先生のお話を伺ったりしました。
熊澤先生は日本国憲法クリアファイルをみんなにプレゼントしてくださり、時折そこから条文を引きつつ丁寧に説明をしてくださいました。
そして人権について考えを深めるケーススタディも行いました。
<ケース①>
ある母子が一緒に暮らす家を借りたいと不動産屋に行ったところ、母親の知的障害を理由に契約を断られた。
<ケース②>
横浜市中区の路上で10代の男性が40代の女性の運転する乗用車にはねられて死亡した。
どちらも事実についての断片的な情報であり、表現されていない立場や状況が存在します。それらを想像しながら視点を変えて考えました。
「あなたが大家さんだったら?」
「車を運転する女性があなたの母だったら?」
というように。
そして特別授業の最後、熊澤先生は子どもたちに
「世の中簡単に白黒つくものではない」
「いろんな人・いろんな事情がある。排除するのではなく興味をもって関わることが大切」
というメッセージを伝えてくださいました。
生徒の感想を紹介します。
みんなめっちゃ書いてくれたのだけど全部掲載すると大変だから抜粋で。
憲法の条文をはじめて見たときは何を書いているのだろうと意味が全くわからなかったが話を聞くうちにこれはこういうことかもしれないと何となく意味がわかってきて、もう少し深く読んでみたいと思った。
今日の話は少し難しかったけれど、相手の立場になって考えることでいろいろ見方が変わるということが分かりました。また、ニュースや新聞などは一部の情報しか取り上げていなくて少しひどいと思いました。なぜなら、そのときの状況を詳しく書いていなくて、あまり悪くない人が世の中から勝手に悪く見られてしまうことがあると思ったからです。
知的障害のある人は身近にいるし、それを理由にこれは絶対にできないなどと決めつけないでどうやったらできるかなどと考えることが大切だと思った。
前までは人権はあまり自分には関係ないと思っていたけど、憲法の第13条に書いてある”すべての国民は、個人として尊重される”というのを知って、自分や、日々の生活の中でも、関係があるのだなと思いました。
今まで憲法は、個人のこととはあまり関係なくて、国全体のことや社会全体でのルールが書いてあると思っていたけれど、もっと細かく小さい一人ひとりのことも書いてあるのだなと思いました。また、最後の少年事件に関わったときのお話で、自分が今いる中学校でのことや、クラスメイトの一人ひとりにも、他の人が簡単にわかるものではない事情や経緯があるのだと思いました。なので、いくら小さなことでも、一概にどちらが良い悪いということは決められないのだなと思いました。
この特別授業は8月24日に実施しました。
参加した生徒の1人が書いた作文がクラス代表に選ばれたそうです。
やったね!!
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