Conscious choice changes the world.

Conscious choice changes the world.

グリーンスクールの視察を終えた翌日にウブドの町で立ち寄ったレストランのメニューの表紙に書いてあった言葉。

前日見聞きしたことについてのレポートの方向性がまとまらず悩んでいたのだけれど、これを見たらごちゃごちゃした枝葉がばっさりと落ちた。

「グリーンスクールの紹介!」みたいな情報はwebにいくらでもあるので、私個人の「ある視点」からレポートをしたいと思う。

グリーンスクールの生徒や保護者にインタビューした際、将来についてどう考えているかを尋ねると

「それはわからない」

という答えが実に多く聞かれた。

世界を牽引するグリーンリーダーを育成するこの学校には、その理念に共鳴したビジョナリーな親子が集まっている。高いアンテナを張り、誰よりも遠く先を見据え、まっすぐにそこへ進んでいる。

そんな風にイメージしていたから、さらりと「わからない」と答えてみせた彼らに私はちょっと驚いてしまった。

現在グリーンスクールで高校3年生の課程に在籍する弊スクール卒業生のシイナも、大学進学については白紙の状態だし、将来のことについてはまだよくわからないという。

もしこれが日本だったらどうだろう。

3年生の夏に「進路決まってません」なんて答える高校生がいたら、きっと親も教師も心配してヒリヒリしてしまうのではないだろうか。怠惰であるとその子を叱ったり、親子ゲンカが始まったりすらしそうである。

その子も決して真剣に考えていないわけではないのだけれど、どうも「わからない」に対して厳しいところがある。

グリーンスクールの人々は「わからない」を許容する。

というより、「わからない」を答えの1つとして認識している。

だから彼らがそう答えるとき、そこにネガティブなところは一切ない。表情に浮かぶのはむしろSelf-Confidentなムードだ。

不確定で曖昧な未来については「わからない」とする一方で、彼らは自分たちが今取り組む対象については問うことと考えること、そして判断することを怠らない。

たとえば授業について。シラバスがあり授業は自由に選ぶことができるが、もしそこに自分の学びたい内容がなければ自分で授業案を作り学校に申請することができる。申請が通れば正規の講座として登録され、担当教師がつき単位も認定される。「なぜ今これを学ばなければならないのか」を問い考え判断し、選択肢が足りなければ生徒が自らオルタナティブを作り出すのだ。

たとえば食事について。グリーンスクールの給食では肉類は提供されない。敷地内に存在するカフェテリアにはベジタリアンやヴィーガン向けのメニューが用意されており、肉類を提供する店舗は1つしかないという。動物愛護・生命尊重の観点も重要であるが、家畜の飼育過程において大量のエネルギーが消費され二酸化炭素が排出されること、そして1頭の飼育にかけるエネルギーとコストに対して食用に資するパフォーマンスが低い(豚や牛の場合増加させる体重の10倍の飼料が必要)こと、つまり「食肉は環境負荷が高い」というエネルギー学的、環境経済学的な問題意識がそこにある。食という日々のことについても「なぜそれを食べるのか」「なぜそれを食べないのか」という問いと思考と判断が存在するのだ。

将来のことはわからないというシイナだが、一方で「今やりたいこと」はたくさんあるのだという。

「やりたいことを全部やりたいんです」

とはじけるように話してくれた。

やりたいことに片っ端から手をだしていけば、それらの中から続くものと続かないものが見えてくるだろう。残り続けたものが、それから先、つまり未来に取り組んでいくものになる。

未来とは今の選択の積み重ね。

それを直観的に理解しているのだと思う。

だから彼らはよりよく今を生きるために、問い、考え、判断する。

親は子どもに今しかない時間をよりよく生きてほしいから、それができる環境を選ぶ。

そうして過ごす今が積み重なり、よりよい未来につながっていく。

Conscious choice changes the world.

要するに、そういうこと。

グリーンスクールは、改めてそれに気づかせてくれる場所だった。


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