フィンランドの事例から教育者として何ができるか考える

イルム元町スクールでは、教育からギフトへを掲げ、教科指導・受験指導と並行して様々な分野のプロフェッショナルを講師としてお招きするイルムアカデミアというワークショップを生徒保護者を対象に企画実施しています。

イルムアカデミアSUNDAYは弊スクールにお通いの方もそうでない方も広くご参加いただけるスピンオフ企画です。

今回お届けするのは「フィンランドの事例から教育者として何ができるか考える」編。

▶︎イルムアカデミアSUNDAY「フィンランドの事例から教育者として何ができるか考える」編申込ページ

今回はイベントの開催にあたって「海外の教育に学ぶとはどういうことなのか」についての私の考えを書こうと思う。

実は「フィンランド」をテーマにイベントをすると集客はとてもラクだ。

  • 世界トップレベルの学力
  • 世界トップレベルの幸福度
  • 整った社会保障制度
  • 美しい森と湖
  • 洗練されたスカンジナビアンデザイン
  • そしてムーミン

みんなの好きなもの、憧れるようなものがそこにはたくさんある。

日本からも多くの教育関係者が毎年こぞって見学に行く。

それはさながら「フィンランド詣」という感じだ。

先に列挙したものはいわばフィンランドの「果実」みたいなものなんじゃないかといつも思う。美味しくて華やかで魅力的な果実。

でも本当に大切なのは、きっと「土壌」の理解なのではないかと考える。


つまり


「果たして異国の土壌で実るその果実は、植え替えるだけで私たちの暮らす土壌でも育つものなのか」

「その果実の成長を可能にしている土壌とはどのようなものなのか」


という問いの立て方・考え方だ。

「日本もフィンランドみたいになればいいのに」


と言う人がいる。


ワークショップで話し合うと


「なんで日本にはできないんでしょう」


なんてちょっと怒ったように言う人なんかもいる。


たとえば、日本とフィンランドは人口スケールが全然違う。1億2000万人の日本に対してフィンランドは550万人。


社会保障も教育も、同じことをやろうとしても土壌が大きく違う。


フィンランドは大国に囲まれ常に軍事力よる支配の危機と隣り合わせであったという歴史的・地政学的な背景がある。そして資源の乏しいいわゆる「持たざる国」だ。


ソ連崩壊はフィンランドにとって大口の貿易相手を失うことだった。経済は落ち込み失業者が増加して株価や不動産価格も大暴落した。


国難を救う新たな国の担い手を育てるためにフィンランドが着手したのが「良き納税者を育てる」を掲げた教育改革だった。


全国民を良き納税者とするということは、あらゆる個性をもつ人々のあらゆる能力を生かすということでもある。だからフィンランドは経済的・身体的・精神的条件によらず全ての人が幸せになるための教育制度とセーフティネットを国策として整備したといえる。いわば生存戦略であって、なんというか、ユルい話ではないのだ。


これらは土壌についての理解の一助になると思う。


ところで、資源が乏しいという点では日本も似ている。日本は急進的な工業化と加工貿易によって発展した。高度経済成長を経験した一方で公害や労働問題も発生してそれは今も尾をひいている。


  • ほしがりません勝つまでは
  • 24時間戦えますか
  • 夢のマイホーム


どれもきっと根は同じ共同幻想。

「大きな物語」で「満員のバス(バスに乗り遅れるな!)」だ。


そうした生き方働き方をずっとしてきて、今あちこちでシステムエラーが起こっている。


過労・雇われない生き方・好きを仕事に。


一人また一人と満員のバスを降りて、私たちは今、個人的幸福というものについてようやく考え始めている。


※この「一人また一人」っていう行動の広がりは、もしかしたら違うバスに乗り換えているだけという可能性もあるのだけれど。


そんな人々にとって、フィンランドの果実は魅力的なのだろう。


でもそれを知って感動して終わりでは物足りないと思う。


コンテンツのように消費されて終わりではもったいない。


もっというと、フィンランド・オランダ・シンガポールなどの教育がコンテンツとして消費されている現状にちょっと違和感がある。


果実について知り、その果実の成長を可能にする土壌について理解を深め、そして私たちの日常の思考と行動がほんの少し変わるような形に抽象化し、その上で社会実装すること。


そんな臨み方に意義があるのではないかと思う。

イベントというもの自体もそうで、一期一会のミートアップがその場限りの学びで終わってしまうことは多い。


イルムアカデミアとアカデミアSUNDAYは、私たちの日常がほんの少しでもそれまでとは変わるようなものにしたい。


今回の講師はまさに今8回目のフィンランドスタディツアーを催行中の私の友人の高坂翔輔。私はヨースケと呼んでいる。


大学の同窓で学習塾も学校教育にも深く関わってきた人だ。だから日本の教育現場にもよく通じている。話がむちゃおもしろくてファシリテーション能力も超高い。


絶対おもしろいのでぜひ遊びにきてください。


またすぐ満席になっちゃうと思うから興味ある人は早めに申し込んでくださいね。

▶︎イルムアカデミアSUNDAY「フィンランドの事例から教育者として何ができるか考える」編申込ページ


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